歯周病ってどんな症状が起こるの?

歯周病という言葉は、テレビのCMや歯磨き粉のパッケージなどさまざまなところで見たり聞いたりすることが多いのではないでしょうか。しかし、実際にはどのような症状が起こることを歯周病というのか知っていますか?歯周病は、成人だけではなく小中学生のお子さんもなってしまう病気です。

 

 

 

歯周病とは

 

歯周病とは、歯と歯ぐきの間に繁殖する細菌によって、歯の周りに炎症が起こる病気のことをいい、炎症が歯茎だけの場合は歯肉炎、自覚症状がないまま静かに進行していき、炎症が進んで歯周炎(歯槽膿漏)になると最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病は近年、糖尿病などの生活習慣病と関連していることも明らかになっており、全身に影響が及ぶことがあります。

 

 

こんな歯周病のサイン出ていませんか?

 

  • ブラッシングすると歯から出血する
  • 歯肉の色が赤い
  • 歯肉が赤く腫れている
  • 朝起きたときに口がネバネバする
  • 口臭がある
  • 歯根が露出して歯が長く見える
  • 歯茎がむずがゆい
  • 硬いものを噛むと痛い
  • 歯肉から膿がでる
  • 歯がグラグラする

 

この中の1つでも症状が当てはまるものがある場合、歯周病の可能性があるため早めに歯科医院に診てもらうことをおすすめします。

 

歯周病の原因ってなに?

歯周病は、子供から大人までたくさんの人がかかっている可能性があります。年齢を重ねていくとだんだんと歯茎が下がったり、免疫力が低下することによって歯周病にかかりやすくなる要因が増えるため注意する必要があります。

 

原因その@ プラーク(歯垢)

歯周病の主な原因となっているのが細菌が増殖してかたまりとなっているプラーク(歯垢)で、歯周病細菌は主に歯と歯茎の間のわずかな隙間の歯周ポケットの中に存在しており、毒素や酸素を放出することで歯周組織を破壊していきます。

 

原因そのA リスクファクター(危険因子)

歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)ですが、生活習慣病の1つとも言われる歯周病には、間接的に歯周病を悪化させるリスクファクター(危険因子)が「口腔内の環境」や「生活習慣」の中に潜んでいます。

 

口腔内の環境

 

歯石

 

プラーク(歯垢)をキレイにせず放置したままにしていると、唾液に含まれるカルシウムなどが沈着することによって歯石になってしまいます。歯石の表面には細菌が多くプラークが増殖しやすいため、歯周病が悪化してしまう要因になります。

 

歯並び

 

歯並びが悪く歯が重なっていたりすることでキレイに歯磨きができていないと、その部分にプラークが増殖することで炎症が起こりやすくなります。

 

口呼吸

 

口呼吸が癖になっている場合、口内が乾燥してしまうためプラークがつきやすくなります。また、歯茎も乾燥するため抵抗力が弱まって炎症が起きやすくなってしまいます。

 

歯ぎしり

 

歯ぎしりをすると歯が削れてしまって歯の内側の象牙質のが露出してしまったり、歯周組織に横から加わる力に弱いため歯に負担がかかってしまうことで歯周病が悪化してしまいます。

 

 

生活習慣

 

喫煙

 

タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させるため歯茎の血管も収縮していしまい血行不良が起こります。
また、タバコに含まれる一酸化炭素によって歯周組織に酸素がうまく行きわたらず、歯周組織が栄養不足になり抵抗力が低下して歯周病が重症化します。

 

ストレス

 

精神的なストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れて体の免疫機能が低下することで、歯周病菌が活発になって口の中で増殖することで、歯が痛んだり歯茎が腫れたり出血したりします。また、ストレスによる喫煙や食生活の変化などによって歯周病が悪化しやすくなります。毎日の歯磨きはもちろんのことですが、リラックスしてよく眠れるように工夫して、ストレスがたまらないようにすることが大切です。

 

食生活

 

歯周病の原因であるプラークは、甘いもの、やわらかいものを食べると増殖させやすくなります。また、バランスが取れていない栄養が偏った食事なども、歯周組織の抵抗力が低下する原因になり、歯周病の悪化や全身の健康にも悪影響を与えてしまいます。。

 

歯周病は全身の疾患と関係があるの?

近年の研究によって、全身の疾患と慢性的な歯周病が、心臓病や肺炎などのさまざまな病気と関係があるということが明らかになってきました。

 

病名 歯周病との関係

糖尿病

糖尿病にかかっている方は、健康な方よりも歯周病にかかるリスクが高いという調査結果が報告されており、歯周病による炎症によって生じる物質が血糖値をコントロールする「インスリン」の機能を低下させて、糖尿病を悪化させてしまうことがあります。

誤嚥性肺炎

ものを飲み込む時の障害「嚥下障害」があると、食べ物や飲み物を飲み込むときに誤って食道を通らず気管に入ってしまいそのまま肺に入ってしまうことがあります。このときに歯周病菌が食べ物や飲み物と一緒に肺に入り感染して肺炎を起こすことがあります。

冠動脈心疾患

歯周病による炎症が動脈硬化を進ませる危険性が高いことがわかってきており、歯周病菌が心臓に運ばれてしまうことによって、心臓血管疾患になる可能性があります。また、歯周病菌が脳に運ばれてしまうと脳血管疾患になる可能性が出てきます。

早期低体重児出産

歯周病にかかっている妊婦さんの血液中に入った歯周病菌が胎盤を刺激してしまうことによって、胎児の成長に影響を与えてしまうことによって「早産」や「低体重児出産」の危険性が高くなることがわかってきています。

 

歯周病を予防するにはどうしたらいいの?

年齢を重ねていっても自分の歯を多く残しておくために、歯周病を予防するためには毎日の歯磨きで、歯周病に効果がある歯磨き粉や歯ブラシを使用して正しいブラッシングをすることが必要になってきます。

 

歯周病の原因ともなる、歯に付着した歯垢が体に悪い影響を与えるまでには丸1日以上かかると言われています。そのため、その間に歯垢を磨き残しなく除去してキレイにすることが大切です。

 

歯医者さんが推奨するブラッシング方法

 

スクラビング法(3分)+バス法(2分)を組み合わせる

 

  • スクラビング法


    歯の外側は歯ブラシの毛先を歯に90度にあてて、鉛筆を持つようにして力を入れすぎず(毛先が広がらない程度)小刻みに横に動かし、歯の内側は歯ブラシの毛先を歯に45度にあてて磨き、歯間部の歯垢を落とします。

  • バス法

    歯ブラシの毛先を歯ぐきと歯の境目に45度の角度にあてて、鉛筆を持つようにして力を入れすぎず(毛先が広がらない程度)小刻みに横に動かして磨き、歯周ポケットの汚れをかき出す磨き方です。

 

市販の歯みがき粉に配合されている、歯肉炎・歯周炎予防の薬用成分を配合した医薬部外品の歯みがき粉を使用することで、細菌の増殖を抑えたり、歯ぐきの炎症を鎮めたり、歯質を強化して、より効果的に歯周病の進行を予防することができます。

 

歯みがき粉の中には歯石ができにくくなったり、歯ぐきの血流をよくする成分などが配合されているものもあるので、磨き残しのない正しい歯磨きの仕方と一緒に予防していきましょう。

 

歯周病についてのまとめ

歯周病は、軽い歯肉炎から進行した状態の歯周炎までゆっくりと進行していきます。軽い歯肉炎ならば歯磨きの仕方を見直すことで改善していくことができますが、歯周炎の場合には歯科医院での治療が必要になってきます。

 

歯周病の予防や早期の治療は全身の健康のためにも大切なことです。歯周病は全身の疾患と関係がありますが、しっかりと歯周病を治療することで病気が改善されることがわかってきています。上記に載せてあるチェック項目にひっかかった方は早めの受診をおすすめします。